
壱岐サイクルフェスティバルの最終編です。
レース合間にちょっとだけ旅人の視線で体験した壱岐を紹介します。
ポイントは人と料理と壱岐の懐かしい景色です。
まず、壱岐と言えばウニですね。旨そうでしょう、美味しいウニを食べさせてくれるお店も紹介しますよ。

今回は車を持ち込まずフェリーで輪行の2時間20分の船旅、船室ではないパブリックスペースで過ごす2等で2480円です。帰りは疲れているので2等指定2980円でちょっとリッチに船室での雑魚寝。
ジェットホイルは1時間10分と半分の時間ですが4980円~
友人11名での修学旅行気分ですから、輪行バッグかついで乗船したらワイワイと気兼ねなく屋外で盛り上がるので2等で十分です。船内にはアルコールの販売がないので事前に持ち込み、ビールの肴は家内が作る恒例のキュウリ朝漬け、縦に半分に切った10cmくらいの大きなもので、それが旨いこと、若いメンバーには大盛況の逸品です。
船旅、海を見ながらビール飲んで今からの期待に胸はずみ、「まだか」なんて思うことなく郷ノ浦に着きます。

郷ノ浦の旅館に荷物を置き、メンバーはコースの試走。
私と家内は勝本までウニを食べに自転車で向かいます。グルメとレースのバランスは天秤の如く微妙(笑)
前回は車で行ったので12キロくらいの平地とばかり思っていたら、片道17キロ、けっこうアップダウンがあり家内には厳しそう、しかし行きはテンションも高く元気があるからね。帰りのことを考えると輪行バッグ持参でいざとなったら定期バスという方法もいいかも。こちらのバスはほとんど人が乗ってないから貸し切り感覚で乗れます。
「ウニが待っているぞ」と励ましながら(笑)
勝本港を見下ろす ビューポイントにやっと到着です。

港への道を下ってすぐに目的地の
大幸物産さん、細長い店内は土産品と奥が食事処になっています。
しかし、もはや終った感に見える外装、それに周辺の寂れた街並み、シャッターが閉まり観光客も皆無、日本でよく見受けられる時代に取り残された過疎そのものです。
が、しかし、見かけではない、
ここで食べるウニとオリジナルのウニの加工品は驚愕に値します。

店にはいり、いつものおばちゃんを尋ねるとお留守、おばちゃんってここの社長さんなのですが、この人がとっても優しくて話好き、「車に自転車載せてあんた達送ってやるからゆっくりしていいよ」なんて言われる始末、
商売上手と考えればそれまでですが、おばちゃんと世間話をしてると壱岐の情に深くはまります。
店の人が「熊本の自転車の人?」
あっ、社長から伝言聞いてますよ!
「法事でどうしても会えないけどよろしく言っといて」
一昨年、来たときまた来るからと、しかし昨年は開催されなかったので断りの電話はしたけど、
忘れないでいてくれたんだ・・・・・
おばちゃんには会えなかったけどその気持ちは十分過ぎるものでした。
写真は一昨年もので右の人がおばちゃん、この人が作ってくれるお茶割の麦焼酎が美味しかったこと。

注文したのはウニ定食2680円、壱岐周辺でしか獲れなくて期間も5月から11月までの赤ウニの定食もありましたがまずは王道で。明日時間がとれたらそいつを食おう。
写真では大きさがわからないのが残念ですがウニ丼はもちろんドンブリです。一面余すことなく厚くウニが敷き詰められ、その量はウニ20個以上。帰りのフェリーの待ち時間に芦辺のダイエーの鮮魚店に行ったところウニ板一枚1600円でした。ここのは2枚分はあります。店内には来店者の記念写真がところ構わず貼られてますが、芸能人やテレビの取材の写真が多いこと、僻地なのに有名店であることはこれを見れば一目瞭然です。
当然ながら美味しいこと。甘くて、磯の香りとウニの濃厚な旨味が渾然一体となって鼻孔をつき抜け、専用の出汁の醤油が風味を拡張する技は日本一じゃないだろうか。もう手がでません状態で「ハフッ」とごはんと一緒に豪快にかき込むと壱岐に来てほんと良かった。壱岐の壱岐たる由縁はウニであり、ウニ食いに長旅の価値有りと大声で叫びたくなってしまう、嘘なんかじゃない。

ウニ丼だけで言葉を失ってはいけない。
ウニ定食2680円には強烈な3兄弟がいることも忘れないで欲しい。まずは刺身の4点盛り、食おうとしてるのは壱岐産の天然鯛。歯ごたえ、噛み応え、弾力があり胸がキュンとなる。イカもただもんじゃない、こちらの何とかいう地物のイカで旨いぞ。

アオサ汁、あのですね、ひと口いったら止まらない美味しさってこういうものなのですね。
アオサの風味がたまらないなあ。
劇的な海草の物語が閉じ込められている玉手汁とでも言いましょうか。
そして、普通の汁椀じゃないですよ、
こいつも「ど・ん・ぶ・り」ですからね。まったくもっていさぎよい、やられましたわ。

どうですか、これ?
サザエ、それもこぶしサイズ。
味は磯、磯、磯、磯。コリコリ食感で専用醤油をたらっと垂らすと、くにゃくにゃっと動くんだな、そこの生簀で生きてた奴だからね。そりゃもう冷酒二合は瞬く間に消えてしまうぞ。もうここに泊まりたいわ!
3兄弟のほかに小鉢はイカのボイルで酢味噌がシャキッとして高得点。それとお膳が来る前に出された冷奴が旨い、体育館で食べたアレだと思いますがこの店の醤油がよかったなあ。
2680円でここまでするのかと疑いたくなる。たぶん現地調達と物産加工直売の店でもあるし、仕入れ価格がなせる技なのでしょうが、驚いた。
土産にはバフンウニを味噌であえた「がぜみそ」というオリジナル商品おすすめ、ここの定番らしい。

周辺の町は寂れて歩く人もいない。
小さな雑貨屋があり、奥からテレビの音がしてやっと人の気配を知る。
朝市通りがあった。倉庫をそれ風に見立てたものであろうが、20mほどの両側に店の痕跡があり、明日の朝は商品が並ぶのだろうか。観光客相手じゃなく地元用なのだろう。
数時間前までの悪しきものは消え去り、居心地のいい漁村は心を豊かにしてくれる。
しばらく自転車で散策する。

小さな子供が走って行った。
懐かしい髪型、たぶんこの町の子はみんな同じじゃないか。
バス停に老人が二人立っていて、すぐにバス来るんじゃないのと思ってたらバスが来た。
これ乗せていいかと自転車見せると、方言でよく聞き取れなかったが「いいよ」って感じた。
行き先を聞くとそれははっきりわかった。
「芦辺」・・・・
「ゴノウラはあと1時間」
家内も諦め、来た道で郷ノ浦を目指した。
勝本町、もう一度自転車でゆっくり滞在したいものだ。
その時はバスの時間調べておこう、いや大幸のおばちゃんがきっと送ってくれるに違いない。

宿で前夜祭の宴会後、いつもの居酒屋さんへ直行。
まる辰さん、
4年目になる。
ここの想い出は2008年に来店したとき満席だった。カウンターの大柄の客が連れが一人帰るからどうぞと、しかし2名だと告げると「何か適当な座るものひとつ持ってきて!俺たちそれでいいから」と店主に言い席に着くことができた。大柄の人は皆の上司らしく赤ら顔でかなり出来上がっているよう、どちらからと聞かれ、熊本、ほほーっ、熊本は? 菊池、菊池! 実は今菊池で将棋の竜王戦開催しようと思っているところ、あなた仕事は? いや私たちは明日自転車の大会があってその主催者の読売新聞のもので・・・・
そんなことがあって、とんとん拍子にことは進み、羽生さんと渡辺さんの第21期竜王戦7番勝負第4局が開催され、渡辺さんの劇的な逆転勝利があった。
この店での出会い、運命的だった。
まる辰のご主人、ふぐ料理が旨い。居酒屋料金で食べられる。焼酎もこだわってなんと黒瀬もあった。
とてもいい店、いい主。
明日の自転車のレース、割り当ての応援場所が指定されていて、
「湯の本で応援してるからね」

まる辰の奥さん、割烹着が素敵だね。
明日レースですよ。
いいの、いいの、と完全な酔っ払い状態で毎回挑むのです。
そういった鉄人レースがあったら自信があるぞ。
心拍プラス肝機能、ポラール作れるかな。

1階がカウンター7席、2階に2間、良心的なお店でご主人も奥さんも満面の笑顔でお見送り。
湯の本で応援するからと聞いてたけど、本番のレースでは人を捜す余裕なんてあるわけなくて、集団に遅れないよう必死で走っていたら、
「な か お さー ん」と声が聞こえて、チラッと左を見たら、
まる辰さんだ!
「おおーい」と手を振ってる。
「うりゃー」とか言ったような気がするも手を上げて答えて、わかってもらえた様子、
嬉しかったなあ、
しかし、よく俺ってわかったなあ、ヘルメットにサングラスだし、ゼッケン111番なので捜し安かったのかなあ。
いやー、感動しました。
まる辰さんありがとうございました。

帰路のフェリーは予定を1時間遅れて出航、
ここまでくると島影見るも物悲しく、想い出振り返るも寂しく、ただ早く帰りたいのみ、
雑魚寝でうっちゃるしかありません。

行きのフェリーでは、どこかしこ乾杯の歓声や、
語り合う声がしていたのに、
デッキには数人が静かに海を見ているだけ、
輪行バッグだけが風に打たれていました。

福岡港着、
車を取りにマリンメッセ入口交差点の先の駐車場から港に帰ると
誰もいなくなり、
ぽつんと家内が一人立ち尽くしていました。
クモの子散らすように帰っていったそうでした。
みんな家路に急いだのでしょう。
自転車を積み、車のシートに腰を横たえるとふと懐かしい匂いがして、
パッと目が覚めたような気分になりました。
壱岐サイクルフェスタ2011、終る。
- 2011/06/07(火) 15:11:05|
- おすすめ食事処
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ura さん
お疲れ様でした。スーツケースでの自走は意外とビギナーらしくなかったですね。
コメントありがとうござます。これを機会にいつでも気軽にどうぞ、非公開も選択できますし、ブログ左下のバーから直接メールもできますので内容次第でご活用ください。
坂の魅力、確かにです。「人生ヒルクライム」なんて言葉もある通り、上りあり、下りあり、いつまでも続く坂はなく、その坂は自分だけがきついわけでなく、みんなも上るもので、そして、上り切った達成感は自分だけのものです。
阿蘇の坂は景色が素晴らしいです。頂点を極めると360度のパノラマが独占できます。是非一度お越しください。
ありがとうございました。
- 2011/06/09(木) 06:46:13 |
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- コルナゴ部長 #-
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まみーさんお久しぶりです。ラピュタ以来ブログ拝見させていただいています。四国の山岳を果敢に挑戦するお姿はいやはや頼もしい、当日集合した猛者も応援していますよ。
壱岐ではあのときの集合写真のメンバーが活躍しましたね。なかでもエキスパート(0-50)30kmの部では福島さんが優勝されました。九州を中心とした高レベルの50シニアのナンバーワンは凄いです。世界戦へ挑戦される実力は表彰台目線に違いなく有り得る結果も想定されます。
私の場合はご存知のように楽しむサイクリングですからいつでもお二人を阿蘇の隅々までご案内しますよ。翌日は桜島など設定されればはpjさんにおまかせで、九州マグマライドなるも稀少的価値の旬なるツアーになるかもです。
夏は耐久レースですか、実力を出し尽くすことができれば勝ちです。順位は関係ない、そこからがスタートなのですから。私は壱岐でぬけがらになりました~~~、めいっぱい楽しんでくださいね!
- 2011/06/08(水) 22:06:36 |
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- コルナゴ部長 #-
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レース&グルメレポート 拝読!お腹が一気に空いてしまいました(笑
各地のイベントに参加して、地元の方とご縁ができて繋がっていく。
コルナゴ部長さんや奥様のお人柄もありますが、
とても素晴らしい出会いをしていらっしゃいますね。
壱岐、いつか走ってみたいです(^^)
今度、7月末に岡山で行われる耐久レースに初参戦することにしました。
初心者マーク背負って走るようなものなので、不安イッパイですが、
楽しんできたいと思います。
- 2011/06/08(水) 16:39:13 |
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- まみー #SFo5/nok
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一歩、一歩、階段登られているんですね。少しづつ自分が強くなっていくのがわかられているはず、自信や余裕が出て遠くまで行けて何よりです。
お住まいが豊肥線に近いので阿蘇への移動は便利かつ行動範囲が広くなり輪行はベストの選択ですね。熊本と言ったら車での移動とばかり考えていましたが、今回の壱岐への輪行でこんなに便利なものかと初めて知りました。福岡の友人がふらっとしまなみ海道に行ったりして意味がわかりました。気楽ですものね。
日ノ峠も行かれましたか!眺め良かったでしょう?
県外の自転車仲間から阿蘇へ手軽にサイクリングに行けることをたいへん羨ましく思われています。何度行っても飽きない雄大な景色や、日々移り変わる自然の様はまさに地の利と言えます。
熊日新聞すぱいす、ご夫妻でのメディアデビュー遅ればせながらおめでとうございます。近々潜在的に自転車導入計画を思う人のために紹介させて頂こうかと思っていますのでご理解ください。
阿蘇の山岳もそろそろ手中に納められつつある現状ならば、阿蘇望4峠に挑戦されてみては?すごろくで喩えるならば3つくらいジャンプするような気持ちになられること請け合いです。(4つはすでに定員かも、2つでも十分だと思います)
クロスバイクで鍛えて、その時がきたら下ハン(しもはん)で南郷谷の吹き降ろしを立ち向かってください。
ご一緒しましょう!
- 2011/06/08(水) 10:00:30 |
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- コルナゴ部長 #-
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それぞれ目的がありますからね、チーム行動、試走、食事制限、睡眠、アップ、表彰式参加・・・SW鹿児島さんくらいになればそんな余裕ないですね。それより奥様に壱岐を猛烈にアピールして、「いいところだから旨いもの食いに行こう!」なんてそそのかしてコースの復習するのも手かも、鹿児島から1泊じゃ遠すぎると嫌われるので、帰りは志向を変えて博多に1泊なんて提案するときっと成功するんじゃないでしょうか。
うに丼食べるのは大変ですね。
- 2011/06/08(水) 09:21:19 |
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- コルナゴ部長 #-
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先日はお疲れ様でした。
トランクで参加した赤のFELT(自分ではロッソビアンコと呼んでいます)uraです。
壱岐のサイクルフェスのページを色々見ていて見つけました。
自転車を初めて半年ですが非常に素晴らしい経験ができました。
来年も絶対参加するつもりです。
坂を登り切る魅力に取りつかれてみたいなんで。
また、機会があればコメントさせてもらっていいでしょうか?
- 2011/06/08(水) 00:54:03 |
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- ura #-
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豪華3部構成ですね!
いつもながら、その場にご一緒させてもらってるような気持ちになって記事を拝見しています。
レースに出ることだけが目的じゃなく、美味しいものを食べに行くだけじゃなく、その土地と人の
ふれあいを大事にされているご様子にこちらもホッとさせてもらってます。ありがとうございます。
ご報告。
先月は私たちもヒルクライム挑戦月間!として、輪行で宮地まで行き箱石峠~俵山~自宅と、自宅から
旭志四季の里~鞍岳登山口往復、それに阿蘇駅~日ノ尾峠~箱石峠~阿蘇駅と毎週のように登ってました。
私(妻)は相変わらずクロスバイクでヘロヘロになってますが・・・楽しいです。
部長のお言葉は忘れてはいませんよ。
今より少し高いところを目指して挑戦することを楽しんでます♪
- 2011/06/07(火) 23:08:17 |
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- もりたん #-
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