Rapha Prestige Kuju を走ってきた。
ブリーフィング は午前5時30分と朝が早いため前日から木魂館入りした。真心込もった朝食は何と5時からおにぎりとみそ汁と漬物を用意してくれて400円、宿泊費は素泊まりで3714円と格安。木魂館スタッフのみなさんの素朴で優しい適当な距離感のある対応は長年旅館業に身を置く者としても心地良い。電話応対は面倒な予約の変更なども好印象で二重丸。接客にしても業界慣れした嘘っぽい尊敬語・謙譲語・丁寧語もなく爽やかで☆4.2。阿蘇・くじゅう国立公園を走る遠征ならば夕食の焼肉や温泉もあって自転車乗りにおすすめの施設である。
6時より2分置きに5人1組で30組がスタートする。Raphaアンバサダーの丹野さんが作ったコースは、自転車乗りが好む景勝地である点を、走りごたえのあるグラベルや農道など線で結び、走行後はその起承転結とスパイスきいた作者のストーリーに感じ入ってしまう試走を重ねた名作である。例えば情緒ある湯煙の村では歓喜の声を出し、小国杉に覆われた木漏れ日の中では物の怪の気配でヒヤッとなり、突き抜ける青空の草原ではハイジ気分でルンルンと爽快、そんな気分に浸っていると「地獄へようこそ」に相応しい真逆のグラベルに突入する。ゴロタ石を擦るホイールは悍ましい音をたて、石を跳ねタイヤは踊る。全身への衝撃に打ちのめそうになりながらも悪路の中に一筋のルートを見つけ自転車へのダメージをかわす。砂や小石や泥にハンドルを取られるが、振り子のようにバランスを取り、ペダルを踏み続け悪路を抜けると奇跡のようにさえ感じる振動無き道で胸をなでおろし笑顔になる。そして、次のグラベルの罠が待ち遠しいという妙な癖がつく。それがTANNOさんの道、自転車乗りの、もうひとつの真実が見えてくる。
グラベルではサルトさんが落車。幸い怪我はなく大丈夫。磯部さんのブランケットが衝撃でグラグラに緩んだがグラベルの終点で助かった。わたしは猟師山の麓のダウンヒルで後輪から強烈な振動とともに悲鳴のような轟音、後輪が外れるか、一回転するのか、地面に叩きつけられるはずと身構えたが、音と振動は弱まり数秒後に止んだ。木の枝がホイールかフレームに噛んだのか、凍りつく恐怖だった。
県道40号からゲートで閉ざされた一目山の登山道に入る。立ち入り禁止の道だが所有者に交渉し3日間の許可を得てあると聞いていた。下山中の登山者とすれ違いながら延々と続く上り坂の終わりを目指す。やっと平坦になり軽快に走っていると巨大な風力発電機が目に飛び込んできた。天空にそそり立つ惑星にいるような景色にメンバー揃って顎を突き上げ見入った。下りにさしかかると野焼きした山肌の先に絶景の峠の道が現れた。それはまるで懐かしい狩尾峠ラピュタのようだが広大さは数倍の規模。今の時代にこんな秘境があったのかとメンバー全員驚きと感激に浸った。道路には乾いた牛の糞が至る所にあり、山肌には皺のような放牧の牛が草を求めて移動する牛道の痕跡があり、一帯が大規模な放牧地であることが判った。贅沢過ぎる貸し切りの峠道を、豪快に、だれもかれも子供のような歓喜の声をあげながら、いったいどこまであるのか、夢のような道を下り続けた。
Photo by ayane
丹野さんの物語を全員読破。
走行距離 137.09km(ミスコースしなければ136.4km)
獲得標高 3646m(ミスコースしなければ3372mのはず)
走行時間 11時間20分55秒
ロードバイクの楽しみとして、個人のサイクリングや団体が催すサイクリング大会やレースなどがあるが、いずれも自分で好みの大会を選んで参加することになる。Raphaのサイクルイベントはそのような誰でも参加できる大会ではなく、フェイスブックなどと同じ招待制で主催者から招かれないと参加できない。サイクルスポーツをするに当って目標を持つならば、それは人と比べたり誰かに影響されて立てる目標ではなく、自分自身が挑戦したくなる目標を掲げ、それを達成することを習慣化させることが大切だと思っている。単に走りが強くなるだけではなく、このような走ることに価値を見いだせる大会、自転車の歴史が古いイギリスで創業されたRaphaの遊び心溢れる大会を目指すのもいいのかも知れない。150名参加の最高齢者としての感想。
FLUCTUAT NEC MERGITUR
--- 漂えど沈まず ---
- 2017/04/28(金) 15:38:12|
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