コルナゴ部長の阿蘇天空の旅

阿蘇くじゅう国立公園の中央に位置する阿蘇内牧温泉からロードバイクを通じて阿蘇の魅力を紹介します。

ツール・ド・おきなわ レース編

tdokiIMG_1020.jpg
レースの朝4時、車が出る音で目が覚める。
サポートカーで我々やメンバーの荷物を運ばれた大城店長は、市民50kmにエントリーされている。よってスタートの名護まで一人で早朝の移動。メンバーを気遣って本人もここに宿をとられた。

昨年スタート地点の北部の方はかなり冷え込んだと聞いたが今朝は暖かい。レーパンにジャージでいいだろう。リュックの荷物もまとめここからスタート地点へ自転車・荷物・人を運ぶシャトルバスの基地オクマリゾートホテルまで真っ暗な中の3~4キロの自走に備える。

5時朝食。やんばるクイナ荘らしいテラス席でキッズメンバー揃っての朝食。寝起きのやや低い声での談笑は初参加の緊張をやわらげてくれる。ここのご飯も盛りがいい。普通の茶碗の倍はありそれにがっつりみんな食べる。お代わりする人もいる。朝食を取れなかった店長の分も余っていたので皆で分け合って食べられた。

朝食を終え、我々と以前阿蘇に来られたミッキーさん、それに女子国際エントリーの方と国頭村リゾートオクマへ自走する。近づくにつれどこからともなく自走してくる参加者によって静かな田舎の道が熱気に包まれてくる。ミッキーさんはスタート地点までウォーミングアップがてら自走するとのこと。何度も市民100キロにはエントリーされているので慣れたものだろう。お誘いを受けたがパンク道具も預けるので遠慮した。

会場にはシャトルバスが6台、いやもっとあった。荷物預かり用と自転車用の大型のトラックも数台ある。ここでリュックを預けたのでゴール地点の名護まで身に着けているものとポケットの補給食、それに携帯(スマホじゃない)以外何もない。だから写真もこれが最後だ。カメラはギリギリまでとも思ったがそんな気持ちの余裕はなかった。



























50rtdokiIMG.jpg
ゴール後に配られた沖縄タイムスの号外 右側先頭が大城店長

奥のスタート地点にシャトルバスが着く。みんなが向かうのはトイレ。当然ながらの長蛇の列。降ろされたのは静かな海に近い道の駅。周りには郵便局と民家が数軒。道の駅敷地には芝生公園が広がり人工的に整備された川が流れている。そこにどんどんシャトルバスが着く。市民100キロと女子国際の参加者500名を超える人で広大な公園が見る見る埋まってゆく。自転車を乗せたトラックも着きそれぞれの愛車を受け取る。真新しい自転車にカーボンホイールがほとんどでサイクルマラソンとは異質の決戦用のバイクがずらり並ぶ。

3時間も待ち時間があり程よい頃アップを兼ねて試走してみる。スタートしたらずっと上りのコースで自然林に分け入る道のよう。そういえばここは沖縄本島北部の山や森林など開発されず自然が多く残っている地域で山原(やんばる)地区。山の木々は杉や檜などまっすぐ伸びる木はなく照葉樹の森でオキナワシイ(スタジイ)の密林となる。道脇には蔦科の植物や里芋に似たつややかな葉の巨大なものまで高価な観葉植物のよう。そして、カーンカーンカン・・・と鐘の音を思わせるエコーの効いた不思議な音が走っている最中ずっと聞こえていたがそれは鳥や虫の音ではなくセミらしい。あとでキッズのメンバーに「あれは何というセミか」と聞いても「セミ」と口を揃えて言われその名前は誰も知らない。見たこともないらしい。不思議だ。

交通標識は「ヤンバルクイナに注意」マークが点々とある。また、死骸を見つけたら連絡する旨看板に書かれている。ここは亜熱帯の貴重な生物の保護区のようなところらしい。キッズメンバーも練習でここを走るとヤンバルクイナをよく見かけるという。峠まで走ったがこの森の音は高中正義の「JUNGLE JANE」の世界だった。

さて、210キロ、140キロが通過したあとに、女子国際と市民100キロがここからスタートする。よって10時スタートなっているが予定であり例年突然らしい。そうこうしているうちに210キロ、140キロの先頭集団がサポートカーを引き連れて轟音とともに通過。すると「予定より早く通過したのでスタート準備を」とアナウンス。足切の時間は決まっているので早くスタートできることは幸運だとみんな話していた。

しばらく並んで待っているといきなりの号砲!
みんな「エーッ!」という間もなくあわててスタートする。予定より25分くらい早かったんじゃないだろうか。

上りが続く。斜度は大したことないがいきなり全開での上りだ。先行の集団が捨てたボトルが道端に転げ落ちてくる。それに声を掛け合い注意を喚起する。しかし、よく見るとボトル取ろうとして誤って落としている人も見かける。すぐ前の人はこの暑いのにレッグウォーマーにアームウォーマー、なんかやばそうなので抜こうと思った瞬間いきなりの斜行、ボトルを落としたようだがそのまま止まってしまう。当然真後ろの私は避けられず追突、前輪が相手のクイックリリースレバーに食い込む。何とか落車は免れたが後続も突っ込んでいるよう。金属音と罵声が飛ぶ。前が止まったので自転車をかかえ歩道を走り復帰する。前輪にかなりのダメージを受けたようだがタイヤは大丈夫のよう。リムも心配だが下りは大丈夫だろうか。とにかく祈るばかりだ。不幸にしてこんな風にしてはるばる来た沖縄が終わることもあるのだ。

最初の峠を超え集団の中で走る。調子が良く第一関門の与那を通過。ところが25キロを過ぎた峠の下りでいきなりふくらはぎが攣る。先が長いのにと絶望するも前に進むしかない。痛みに耐え走る。これは電子本「はじめてのロードレース」の著者であり自転車仲間の和田桂一さんから「攣っても足は回すように、必ず痛みは消えるから」と沖縄攻略のメールを頂いていた。最初見たときは、「あの痛さで走る・・・」と冗談のようなことと思っていたが、まさにその現実。私のふくらはぎにはゴルフボールのような痛みの球体が2個、巣くっていた。

定期的にふくらはぎから腿などいろんな筋肉が攣る。そのたびに顔をゆがめ、痛さを堪えてペダルを回し続ける。ただその力は弱々しいもので後続に越されて行く。せっかくいい感じで走っていたのに・・・
しかし、足が不思議と復活すると越された見覚えのある集団に追い着く。ボトルの水はかなり飲んでいた。塩の粒も舐めていた。でも攣る原因はと朦朧としながらも考える。

よく見ると私だけではない。いたるところで自転車から降り足をさすっている人、なかには道路の真ん中に立ちはだかり立ったまま動かない人、「危ないよ、端に寄ってよ」の声に「足攣って動けない!」と仁王立ち。

気温は30度近いようだ。普久川の補給所の水は210kや140k用で、スタートしてまもない100kの人は取ってはいけないと聞いていたが、この暑さで次の補給所の慶差次までは遠すぎる。そんなこともあってかボトルをみんな取っている。私も空いたボトルを捨て水のボトルを補給。目の前で落車した人もいた。係員も注意を喚起すえるが、慣れない走りながらのボトルの受け取り、つい斜行しやすいので前の人をよく見ておかないと危険だ。

50キロ地点まで何とかたどり着いた。キッズの青いジャージから声をかけてもらう、もしくは時々見るだけでとても心強くなる。数百人規模のメンバーの知っているのは20名程度だけど頼もしいブルージャージ見ると「よし!」と助けられた。

足の攣りは一定の法則があって、上ったあとの気を抜いたときにいきなりやってくる。応援の人がいるところでの痛さゆえの鬼の形相は「なんで下りで苦しいのか」と不思議がられただろう。そんなとき硬直し攣ったふくらはぎや腿を見ると異様に映るだろう。
地元の方の応援は小さな太鼓叩いて元気をくれる。ただ苦痛ゆえほとんど感謝の気持ちを表すことはできはしなかった。

2度目の補給所ではスポーツドリンクを取った。やけに甘かったがその後調子良くなった。安部の関門を過ぎた海岸線でまた攣りはじめ一人旅となった。風を受け消耗するのだが力はまだ十分残っている。痛みが取れたらまた全力で走るチャンスを待つ。

上りが始まった。今までにはない連続の小さな上りが幾重に続く。ここは苦労すると事前に聞いていたが想像以上に堪えた。でも私だけではない。回りをみるとゾンビのように脱落して行く人も多い。「負けない、俺は後半の上りが得意なんだ」と言い聞かせ最後の川上の関門を目指す。

関門が見えてきた。ここから国道に出る。右に行けと旗を振られればアウト、左に振られたら完走。人が多くなり声援が飛ぶ。テントが見えた。関門が迫る。旗を持つ係員も見えた。さあ、さあ、どっちだ・・・・

左だ!
一緒に走ってきた10人くらいの集団に歓声が上がる。手を上げてガッツポーズをする人もいる。「ウオッー!」とかいろんな喜びの声が響く。私もややウルッときた。携帯で家内に電話しようかと思ったがここはそんな場ではない。国道に出たら足も戻った。黄色のジャージのいい感じで走る人に付いた。外人が入ってきて三人で走った。左端を走るのはすでに完走したため流している人。私たち三人はガンガン飛ばす。国道を封鎖された道は広々と気持ちよい、ここにきてはじめての快感だった。イオン坂でもダンシングで行く。上ったところでまたもや攣りそうになったので外人のケツにぴったりと付きゴールを目指す。この位置から絶対離れないと決めた。先頭は常に黄色のジャージ。見覚えのある交差点が見えてきた。アーチが見えた。ここが終点、やっとたどり着いた。ただ、もうめいっぱい走れない、ゴールはどこ?

左に折れゴール。

攣った足なので落車しないよう慎重に降りる。音楽が鳴り響ていた。アナウンスが煩かった。

顔に手をやると岩塩パックのようになっていた。

「ツール・ド・おきなわ」市民100キロを完走したんだ!










Festina Lente - 悠々として急げ
スポンサーサイト
  1. 2013/11/14(木) 18:47:15|
  2. ロードバイク
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:7
<<「ツール・ド・おきなわ」 打ち上げ編 | ホーム | ツール・ド・おきなわ 前日編>>

コメント

サルトさん

スタートラインに万全の態勢で立てたのもサルトさんのおかげ、終わったあと知ったあの本のインパクト、今父が読んでいますが沖縄に行った成果はさすが大人の運動会でした。これからもどうぞよろしく、と次なる遠征にお誘いください。沖縄の方々との絆、島沿いに開国すべき私が見えてきたようにも思います。どうなるか判りませんが自然の成り行くままに。
  1. 2013/11/19(火) 13:54:25 |
  2. URL |
  3. コルナゴ部長 #-
  4. [ 編集 ]

レッドドラゴンさん

はじめまして、レッドドラゴンさん

攣っても鬼の形相で我慢して回すと徐々に、徐々に、徐々にではありますが

スーッと痛みが消えていきます。

プロでも「攣りながら走った」とはよく聞きますから、やはり我慢の領域を

広げることですね。

攣らないためには水分補給と塩分補給でしょうか、私の場合は水分補給が足

らないかったのでは思っています。

さて、攣って回す練習も必要かも・・・(笑)
  1. 2013/11/19(火) 09:30:59 |
  2. URL |
  3. コルナゴ部長 #-
  4. [ 編集 ]

NoTitle

凄い。。。壮絶だったんですね。。。
100km、未知の領域です。。。。。
攣っても回す。覚えておきます。ハイ。
  1. 2013/11/18(月) 23:45:11 |
  2. URL |
  3. レッドドラゴン #-
  4. [ 編集 ]

DNFでもおきなわは格別

部長に巻き込まれ三年ぶりに100kのスタートラインに立つあたし、練習量からすれば高江でバスが待っている想定だったところがスタートが早まり高江の通貨時点ではもしかしたら・・いけるかも、とチラと欲がでたものの、おきなわではごまかしは利きません、羽地ダムの上りの長いことフラフラと上り最後の関門でthe end。落車骨折から二年漸く再出発のスタートラインにたどり着けました◎
  1. 2013/11/15(金) 21:10:21 |
  2. URL |
  3. サルト #YCdeWPgQ
  4. [ 編集 ]

A吉さん

仕事の合間にバタバタと思いつくまま。
じっくりと書こうかとも考えましたがフレッシュなうちにと。

A吉さんなら100キロだと完走は間違いないのでどこまでタイムを縮めるか、50キロはスプリントだし、ここに来て順位狙い以外だったら短過ぎてもったいないでしょう。140kは未知。
次回出るとしたら100kです。ただもうちょうと遠征してなんて妄想してます。
  1. 2013/11/15(金) 09:40:48 |
  2. URL |
  3. コルナゴ部長 #-
  4. [ 編集 ]

臨場感が

臨場感がはんぱないです!
レースのドキュメンタリー映画でも観ているような感じで飛行機待ちの間、読ませてもらいました。

次回は140kmですか!?(笑

  1. 2013/11/15(金) 08:44:16 |
  2. URL |
  3. A吉@福岡空港 #AkWN2dAg
  4. [ 編集 ]

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
  1. 2013/11/14(木) 21:12:22 |
  2. |
  3. #
  4. [ 編集 ]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://kikuchinokoto.blog88.fc2.com/tb.php/1238-506d05ee
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

Author:コルナゴ部長
コルナゴ部長のブログへようこそ!


自己紹介
阿蘇内牧温泉の温泉旅館から欧州の山岳コースを彷彿させる阿蘇サイクリングの愉しみ方を紹介しています。

最近の記事

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

月別アーカイブ

カテゴリー

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

カレンダー

06 | 2017/07 | 08
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

FC2カウンター

FC2カウンター

現在の閲覧者数: